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■  ポンと村おこし  第110話「対決ニンジャ屋敷」            ■
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「わらわ、お散歩なのじゃ」
「コラー!」
「うむ、なんじゃ、ポン!」
「お散歩ってなに! 今から遠足が来るんですよ!」
「知っておるのじゃ、遠足は『ぽんた王国』に来るのじゃ」
 そうなんです、幼稚園の遠足が来るんですけど……
 パン屋さんじゃなくて「ぽんた王国」に来るんですよ。
 ぽんた王国は「ニンジャ屋敷」があるからですね。
「では、行って来るのじゃ」
「コラーっ!」
「なんじゃ、さっきから怒ってばかりなのじゃ」
「お手伝いに行くんですよ、ぽんた王国にっ!」
「知らぬ」
「なんですとー!」
「わらわ、パン屋のキツネゆえ、ぽんた王国知らぬのじゃ」
「村のお店でしょ、手伝うんですよ、大変な時は!」
「ポンが行けばよいのじゃ」
「コンちゃんも行くんですよ!」
「さらば!」
 ああ、コンちゃん行っちゃいました。
 普段は飛んだりしないのに、すごい勢いで飛んで行っちゃいます。
「この女キツネーっ!」
 あ、戻って来ました。
 と、届かないところでふわふわホバリングしてるの。
「冷蔵庫のいなり寿し食べたら怒るぞ」
「手伝いは?」
「さらば!」
「コラーっ!」
 叫んでも行っちゃいました。
 いなり寿し食べちゃおうかな。
「ポンちゃんポンちゃん」
「あ、ミコちゃん」
「そんなに怒らないで」
「だって、コンちゃんサボってばっかり」
 ミコちゃん、力なく笑いながら、
「コンちゃんってそんなでしょ」
「でもでもー!」
「そろそろ怒るだけムダって思わないと」
「むー!」
 わたしの怒り、ぶつけるところはないんでしょうか?
 まったくあの女キツネはモウ!

「ニンジャー!」
 ポン吉の声。取り巻きの園児達大喜びなの。
 今日はニンジャ屋敷でお仕事です。
 本当は土曜日曜祝日しかやってないニンジャ屋敷。
 でも、遠足の予約が入ると営業しちゃうんです。
 今はまさに幼稚園の遠足が来ているところなの。
「あのー、村長さん」
「何、ポンちゃん?」
 わたし、村長さんと一緒にニンジャ屋敷の前で頑張ってるんです。
 そうそう、学校の生徒も総出で園児さん達を案内してるの。
 ポン吉はニンジャ姿で案内で忙しいから、わたしも誘導係でお手伝いなの。
「あのー、村長さんは校長さんでもあるんですよね?」
「そうね」
「みんなして、学校休んでいいんです?」
 キラーン!
 村長さんの目に殺意がみなぎってます。
 地雷、踏んじゃったかな?
「ポンちゃんだって、『中学生』って設定よね」
「そうです、『中学生くらい』って設定です」
「ポンちゃんだって、毎日働いてるじゃない、学校来ないで」
「都合のいい時はタヌキって設定になるんです、タヌキの恩返し」
「卑怯っ!」
「で、学校総出で休んじゃっていいんです?」
 そうそう、ニンジャ屋敷のまわりには学校のみんながいるの。
 幼稚園の子供達が逃げないように……なんだって。
 でもですね、正直言うと、みんなのお手伝い、すごく助かってるの。
 ポン吉とわたしだけじゃ、大変だもん。
 それに……
 園児はなにするか、行動読めません、キケン!
「村おこしの為なの!」
「でも、学校休むのダメなんじゃないです?」
「ポンちゃんにまともな事言われるとは……」
「わたしは村長さんがみんなを手伝わせてる方がびっくりです」
「そう?」
「てっきり吉田先生の仕業かと思いました」
「ああ、あの髭男」
「髭男……吉田先生なら、言い出すかなって思ってました」 
 村長さん腕を組んで悩ましい顔。
 でも、急にわたしの方を向いて、
「髭男はどうしたの? さっきから見えないけど?」
「そう言えば……見ませんね」
 見回しますが、吉田先生はいません。
 村長さん、頭から湯気を立てながら、
「あの髭男、手伝えって言ったのにサボってる!」
 すごい剣幕で村長さん行っちゃいました。
 吉田先生手伝いに来てくれるんでしょうか?
 それとも村長さんにシメられちゃうんでしょうか?
 まぁ、わたしはわたしの出来ることをしましょう。
 コラコラ、園児、勝手によそに行かない!
 まったく目を離すと子供はどこに行くかわかりません。
「お前、なんだよ!」
「ちょっと、しっぽあるわよ!」
「あんた、ここの子?」
 園児達の声を聞いてると……レッドを取り囲んでいます。
「けのいろがあかいからレッド!」
 レッド、自己紹介するとすぐに一人をつかまえて、
「あそんであそんで〜!」
 園児達、びっくりしていますが、男の子の一人がレッドのしっぽをさわりながら、
「お前、きつねかよ!」
「そうでーす!」
 正体明かしちゃっていいのかな、でも、レッド、隠せるようなタマじゃないですね。
「きつねなら遊んでやれねーな」
「てれずともー」
「照れてねーよ、ばーか」
 男の子、レッドの頭をグリグリ。
 でもでもいじめてるみたいじゃないですね。
「しょうがないな、遊んでやらないでもないか〜」
 そんな男の子の言葉に、他の園児達も盛り上がってます。
 わたし……「遠足のしおり」発見。
 ちょっと気になったから、見てみましょう。
 手を伸ばすと、
「ポンちゃん、なにやってるの?」
「あ、千代ちゃん」
「今から忙しくなるんだから、そんなの読んでるひまはないよ」
「そうなんですか?」
 千代ちゃん、パンパン手を打つと、
「はい、遊ぶのはごはんの後でーす」
「えー!」
「返事は?」
「はーい」
 みんな気のない返事です。
 千代ちゃん、園児達を見回してから、ちらっとわたしに目をくれます。
『なに? 千代ちゃん!』
『ポンちゃん、だまってしっぽを出す!』
『え?』
『だまってしっぽを出す!』
 って、千代ちゃんわたしを捕まえると無理やり園児達にしっぽを見せて、
「はい、このお姉さんのしっぽをつかまえて、後に続いてください!」
「!!」
 い、痛いっ!
 園児の半分がわたしのしっぽをつかんで見上げてます。
「うお、なんだ、すごいしっぽ!」
「さわり心地サイコー」
「ちょ、ちょっと、優しくさわってくださいっ!」
 うう、いつもならチョップなところですが、よそさまの子供にそれはできません。
 残り半分、女の子達はレッドのしっぽなの。
「ふさふさ〜」
「気持ちいい〜」
「くすぐった〜い」
 レッド、うれしそうにモジモジしてるの。
 わたしとレッドで、園児達をおそば屋さんへ。
 お店の中に入れば、みんなすぐに席に着いてくれました。
「いただきま〜す」
 みんなざるそば、好きみたいですね。
 よかったよかった。
 さーて、わたしも配膳しまくりです。
「ポン姉、助かります」
 あ、ポン太はさっきニンジャ屋敷にいませんでしたよ、こっちでお昼の準備してたの。
「ポン太、どんどん作って、子供でもざるそばだからすぐになくなっちゃうよ」
「うん」
 ポン太、すごいスピードでおそば茹でまくり。
 わたし、ポン吉に目で合図。
 ポン吉も察したのか、すぐに園児達の真ん中へ……そして、
「おかわりは?」
「はーい!」
 一声はさっきレッドをグリグリした男の子です。
 ポン太が茹で上がったおそばを氷水の中に落とすの。
 わたし、すぐにざるですくってポンポン水切り。
 すぐさま現場待機のポン吉に「投げ」ます。
 受けたポン吉、やさしく男の子のセイロの上におそばを置くの。
「はい、一丁あがりっ!」
 ポカンとする園児達。
 でも、すぐに満面の笑みになって、
「ぼくもぼくもっ!」
「わたしもわたしもっ!」
 おかわりラッシュですよ、ポン太茹でまくり、わたし投げまくり、大回転なんだから。
 おそば屋さん、ちょっとした戦場みたい。
「ぽぽぽポン太っ!」
「なにっ! ポン姉っ!」
「質問がっ!」
「手短にっ!」
「長老は?」
 ポン太、苦々しい顔で、
「老人ホームに逃げちゃったんです」
「ええっ! 逃げた!」
「遠足って聞いたらすぐに逃げちゃったんです」
「長老、だんだんコンちゃんに似てきたような……」
 ともかく長老いない分頑張らないといけません。
 園児達、モリモリおそばを食べてます。
 そのちっちゃな体のどこにどれだけ入るんですかっ!

「はーい、お昼を食べたら今度は神社ですよ〜」
 幼稚園の先生がみんなに声かけします。
 わたし、片付けしながら、
「へぇ、これから神社なんだ、ヌシに会うんだ」
 クジラみたいに大きなナマズ、みんなきっとびっくりするんだから。
 園児達、ぞろぞろと先生に付いて行くの。
「!」
 またまた遠足しおりを発見!
 誰かが忘れちゃったみたい。
 ちょっと中が気になりますね。
 わたし、さっそく手に取って中を……
「ポン姉」
「な、なんですか、ポン太」
「見てないで早く持ってってください」
「う、うん……」
「忘れた子、泣いちゃうかもしれませんよ」
「そ、そだね、じゃぁ、ダッシュで!」
 わたし、ポン太の真剣な目に圧倒されて駆け出すの。
 ふふ、子供の足じゃまだ遠くに行ってません。
 って、行っても神社なんですけどね。
 すぐに追いついて、
「忘れてる人、いませんか〜」
 わたしの声に、みんなが振り向きます。
 それからカバンの中を確かめてブンブン首を横に振ってるの。
「あれ? じゃあ、これは誰さんの?」
「あ……」
 声を上げたのは先生です。
「どうもありがとうございます」
「いえいえ、どういたしまして」
 幼稚園の先生、ニコニコしながら受け取ると、
「あの……ポンちゃんってあなたですか?」
「はい、そうですよ」
「そうですか……」
 じっとわたしを見ています。
「どうしました?」
「いえいえ……」
 先生、今度はわたしの後ろに回り込んでしっぽを見てるの。
「本当にタヌキなんですね」
「コスプレなんですよ」
「はぁ……えっと、コンちゃんって人もいるんですよね」
「パン屋さんにいますよ」
「パン屋さんにいるんですか……そうなんですか」
 幼稚園の先生、言うだけ言って、行っちゃいました。
 なんだか様子がちょっと変……に思えたんだけど、どうなんでしょうね?
 さて、遠足のしおりも渡したし、帰るとしますか……でもでも、もう帰っても仕事ない
ですね。
 それなら遠足に付いて行くとしましょう。
 レッドもなんだかまざってますしね。
「!!」
 階段を上がったところにある神社。
 行ってみたら、老人ホームのみなさんもいるんです。
 長老に、そしてコンちゃんやシロちゃんもいます。
 村長さんもいるから聞いてみましょう。
「みんな、どうしたんです?」
「ああ、ポンちゃん、もう来たのね」
「ええ……忘れ物を届けついでに……もうおそば屋さんで仕事ないし」
「どっちにしてもポンちゃん呼びに行こうと思っていたのよ」
「えっと……そうだ、なんでここにおじいちゃん達がいるんです?」
「……」
「幼稚園の遠足、子供見たさです?」
「まぁ、それもちょっとはあるんだけど……」
 話しているとしっぽに激痛。
 見ればレッドがにぎってます。
「ポン姉ポン姉っ!」
「レッド、痛いからやさしく……じゃなくてしっぽはダメ」
「ポン姉ポン姉、これこれ!」
 レッドが手にしているのは「バッチ」なの。
 ニンジャ屋敷のバッチなんだけど……
 ニンジャ屋敷は来た回数で新しいバッチが貰えるの。
 1回目は「入門」で、回数が増えると「級」とか「段」になっていくの。
 レッドの持っているのは「九段」19回目と思います。すご!
「レッド、これ、どうしたんです」
「おにいちゃの」
 って、レッド、さっき頭をグリグリしていた男の子の手を引いてます。
 男の子、自慢気に、
「もうニンジャ屋敷、しっかり覚えちゃったぜ」
「ふわわ……ここの常連さんだったんですね」
「俺以外にも段のヤツ、たくさんいるぜ」
 はて……わたし、ニンジャ屋敷を手伝う事多いけど……
 そうか、今日は幼稚園の制服だから気付かなかったのかも。
 でもでも……わたし、男の子に質問です。
「ねぇねぇ」
「なんだよ!」
「そんなに何度も来て、飽きない?」
「ちょっと飽きたかな?」
「この遠足は誰が決めたの?」
「先生」
 むー、園児達に選択権はないようですね。
「それじゃ、つまらなかったでしょ?」
 でも、男の子、すごい笑顔になって、
「そんな事ないぜ、オレ、今日は……」
 そこまで言って、幼稚園の先生がやってきました。
 さっきの先生とは別の先生ですね。
 男の子の頭にゲンコを投下すると、
「まったくちょろちょろしてモウ!」
 先生、男の子を抱きあげて、
「ふふ……私、レッドちゃん目当てでこの遠足決めたんです」
「あー、レッド好きーさんでしたか」
「レッドちゃんはかわいいのに……リアル園児は生意気ばっかりで」
 微妙な幼稚園の先生ですね。
「でも、子供達、ブーたれませんでしたか?」
「ええ、ブーたれてました」
「強行したんです?」
「まさか〜」
 わたし、遠足のしおりがあるから手を……
 って、先生、しおりをさっと手にして行っちゃいました。
「じゃあ、楽しみにしてますね〜」
「はーい」
 って、なにが楽しみなんでしょうね?

 って、なんだかわかってきましたよ。
 神社の広場に「リング」があるの。
 幼稚園のみんなも、老人ホームのみなさんも、学校のみんなも集まってるし。
 ニコニコしているレッドすきーな幼稚園の先生を捕まえます。
「ちょっといいですか?」
「ポンちゃん……」
「レッドすきーさん……パン屋さんの常連さんですよね?」
「え、ええ……」
「遠足のしおりを見せてください」
「……」
 どーもさっきからしおりが見れない見れないって思ってました。
 偶然と思っていたけど、絶対ここにはなにか書いてあります。
「見せるんですよ!」
「ポンちゃんこわーい」
「い・い・か・ら!」
 レッドすきーな先生、しおりを出してくれます。
 見てみれば……ほーら、やっぱり。
 最後には「女子プロレス」なんです。
「な、なんでプロレス?」
「だ、だって子供達、ニンジャ屋敷だけだったら嫌そうだったし」
「さっきの子、常連さんでしたもんね」
「でも、お祭りの時の女子プロレスは伝説」
「伝説……なんだ……」
 って、リングにコンちゃんが上がってます。
「コラーっ!」
 コンちゃんわたしを指差しながら叫びます。
「この神を神とも思わぬたわけタヌキがっ!」
 サボリ神のコンちゃんに言われたくないな〜
「この戦いの舞台で、どっちが偉いかはっきりさせるのじゃ!」
「わたしが先輩だもん」
「わらわは神なのじゃ」
「じゃ、お店出て行って神社でも住めばいいのに」
 って、たまおちゃんわたしの隣にやって来て大声。
「私はいつでもウェルカムです」
 桃色オーラが面倒くさい〜
 コンちゃん、ちょっとびびりながら、
「どうでもよいのじゃ、まずはポン、おぬしを倒すっ!」
「わたしはどうでもいいかな〜、ケンカしちゃいけないんだよ」
 わたし、別に戦うの、いいんです。
 でもでも、わたしにだけ全然話が来てないのが気にいりませんよ。
「ケンカはいけないんです」
 チラって周りを見てみます。
 みんなブーブー言ってるの。
 あ、今度はミコちゃんがリングに上がりました。
「今回の賞品は『いなり寿し』で〜す!」
「やったー!」
 コンちゃんは大喜び。
 わたし、リング際まで行ってミコちゃんを手招き。
「あのー」
「どうしたの、ポンちゃん、朝はあんなに怒っていたのに」
「だって、わたし抜きで話が進んでいるのが気にいらないもん」
「そうなんだ……」
「それに、わたし、いなり寿しもらっても……」
 ちらっとリングを見れば、コンちゃん飛び跳ねて喜んでいるの。
「やったー! いなり寿しわらわのものじゃー!」
 コンちゃんはいなり寿しさえあれば……だもんね。
「ポン、戦わなくてよいぞ、いなり寿しいただきなのじゃ」
「はいはい、ケンカはいけないもんね」
「そうなのじゃ、ポン、出るな、わらわ不戦勝なのじゃ」
 そうなんだよな〜
 なんだか今回、女子プロレスする気になれないんです。
 だってわたしだけ話が来なかったんだもん。
 ミコちゃんが手招きしてます。
 なにかな?
「ポンちゃん戦うじゃない」
「?」
「勝てそうにないの?」
 ミコちゃん、心配そうに言います。
「コンちゃん、術使うもんね」
「……」
「ポンちゃんでも勝てないか……コンちゃん神さまだもんね」
「なに? ミコちゃん、戦わせたいの?」
「だって子供達、女子プロレス楽しみにしてたのよ」
「……」
「おじいちゃん達も楽しみにしてたみたいだし」
 そーですよ、村総出でリング囲ってるんです、どんだけ楽しみにしてるんですか。
「村長さんや、遠足企画したポン太くんも困るから、戦ってよ〜」
「でもでも、今回はそんな気になれないんです〜!」
 わたしだってほっぺ膨らませてふてくされるんです。
「賞品もいなり寿しだし、プリンだったら戦ってもよかったかな〜」
「ねぇ、ポンちゃん」
「なに、ミコちゃん」
「ポンちゃんが勝って、いなり寿しをゲットしたら面白くない」
「?」
「コンちゃん大泣きするわよ」
「!!」
 俄然、戦う気になりました。
「わたし、やる、ミコちゃんコスチュームチェンジおねがい」
「やったー、さすがポンちゃん、ポン先輩っ!」
「ミコちゃん、持ち上げなくていいから、早く」
 ミコちゃんが指を鳴らせば、わたしは体操服姿にコスチュームチェンジ。
 さっそうとリングに上がるの。
「ふふ、コンちゃん覚悟っ!」
「むむ、ポン、神のわらわに勝てると思っておるのかの?」
 むう、コンちゃん、さっきまでのバカ喜びどこかに行っちゃってます。
 わたしをじっと見ているの。
 冷静だと神のコンちゃんに勝てません。
illustration 朱坂理樹
 ここは挑発するに限ります。
「コンちゃんなんか、戦う前から負けてるんですっ!」
「なにをっ!」
「冷蔵庫のいなり寿し、食べちゃったもんね〜」
「なーにーぃっ!!!!!!!!!!!!!!」
 コンちゃんの髪、うねりまくってるの。
 怒りで我を失ってますよ。
 ついでに滝のような涙なの。
「食べないって言ってたのにー!」
「食べちゃった」
「うそつきー!」
「食べちゃった」
「バカタヌキ!」
「食べちゃった」
「ゆるさーんっ!」
 さーて、ゴングです。
 突っ込んでくるコンちゃんに、わたしもダッシュなの。
 どっちが勝ったかですって?
 それは想像にお任せで〜す。


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NCP5+(2016)
illustration 朱坂理樹
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