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■  コンと村おこし  第09話「ポンvsたまお」              ■
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 ふう、今回もわらわが主役の「コンと村おこし」なのじゃ。
 いきなりサービスでお風呂シーンかの。
 もっともレッドにみどりのおまけ付じゃがの。
「コン姉〜、すいぞくかんたのしかったー!」
「ふむふむ、そうかの」
 レッドはどこに行ってもそうではないかの?
「ワ、ワタシもすごく楽しかったわよっ!」
「そうかの、そうかの」
 みどり、何が楽しかったか知らんが、よかったのう。
 わらわはおいてけぼりになりそうで、最後は嫌〜な思い出になったのじゃ。
 しかし水族館、楽しかったのう。
 ああも大きな水槽、本当に水の中みたいだったのじゃ。
「いるかさん、すきすきー!」
「ワタシも楽しかったわよっ!」
 わらわ、イルカショーには行けずじまい。
 あの大きな水槽だけで満足してしまったのじゃ。
 むむむ……またなんとかして行かねばならんのう。
「コンちゃーん」
 ポンの声じゃ、どうしたのかの?
 風呂場の戸が開いて顔を出しよる。
「どうしたかの?」
「バスタオルと着がえ置いとくよ〜」
「おお、ありがとうなのじゃ」
「着がえくらい持ってってよね〜」
「とは言われても、レッドにせがまれて流れゆえ」
「そうだったっけ……そうだったかも」
 ポンが引っ込む……その時じゃ!
「私もご一緒します」
「!!」
 た、たまおじゃ!
 みだら巫女たまお!
 百合巫女たまお!
 ど、どうして風呂場に侵入出来るっ!
 ふ、封印しておったはずなのにっ!
 たまお、自然に掛り湯を浴びて体を洗い始めよる。
 そ、そうか!
 ポンが戸を開いたときに封印が!
「コンお姉さま、今日の水族館は楽しかったですか」
「あわわ……そそそ……そうじゃの」
「私も行きたかった……でも神社の仕事があるから」
 レッドとみどり、たまおに向かって、
「たまおちゃ、こんどいっしょにいこー!」
「水族館、楽しいわよっ!」
「ありがとう、レッド、みどり、今度一緒に行きましょうね」
 たまお、静々と体を洗っておる。
 いきなり襲ってくるかと思ったが、レッド達がおってはそれも出来ぬか。
 とりあえずは安泰じゃが……
 むー、微かに桃色オーラを感じるのは気のせいかの?
「もうあがるゆえ!」
「!!」
 レッドとみどり、湯船を出よる。
 おお、行ってしまいおった。
 戸が閉まる。
 風呂場にはわらわとたまおだけじゃ。
「お姉さま、この時を待っていました」
「たたたたまお、はかりおったおったの!」
「ふふ、もう逃げられませんよ」
 むむ、術……封印されておるようじゃ。
 ステルスもテレポーテーションもかなわぬ!
 しかしこれはどうかの!
「たまお死ねっ!」
 久しぶりの「必殺心臓マッサージ」なのじゃ。
 わらわが宙をモミモミすれば、たまお胸を押さえて震えておる。
 どうして心臓マッサージが封じられておらんかわからん。
 ともかくこのまま殺してしまうの……
「はぁはぁ……心臓がドキドキします、気持ちが抑えられませんっ!」
 な、なんだか逆効果なのかも知らんっ!
 おお、まるで映画の●ンビのように迫って来おる!
 ●イオハザードも真っ青な恐怖なのじゃ。
「コラー!」
 おお、またしてもポンの声。
 戸が開いて、
「コンちゃん、一緒に上がってくれないと困るよー!」
「お、おお、ポン、どうしたのじゃ!」
「レッド、濡れたままパジャマちゃうし、床濡れちゃうし」
「そうかの、そうかの、わかったのじゃ」
 わらわ、さっさと風呂場を出るのじゃ。
 脱出成功!
 たまおは心臓マッサージが効いておるのか、すぐに追って来れんようじゃの。
「待ってっ!」
「!!」
 おお、いきなり大声。
illustration 朱坂理樹
 首カックンなのじゃ。
 たまおめ、わらわの髪をつかんでおる。
 脱出失敗なのじゃ。
「コンお姉さま、どうしたらわたしと一緒になってもらえるのですかっ!」
「そんなの嫌なのじゃ」
「ど、どうして!」
「嫌だから嫌なのじゃ」
 たまお、ポカンとしておったが、グイグイと髪を引っ張りおる。
 顔を出しておるポンも、
「モウ、レッドはわたしがやるから、コンちゃんは……」
「ポン、待つのじゃ」
 せっかくの脱出口、閉ざされてはかなわん。
 ポンをつかまえて……そうじゃ!
「たまお、わらわと一緒になりたいのじゃな!」
「お、お姉さまっ! その気になってくれましたか!」
「ここはどこじゃ!」
「え……パン屋さん?」
「そうじゃ、山のパン屋さんなのじゃ」
 わらわ、ポンをグイグイ引き寄せて、
「ちょ、コンちゃんなにっ!」
「ポン、おぬし、ここでは一番の先輩じゃろう」
「先輩! いい響き! そうですね、一番先輩なんです」
「そこでたまお、おぬしがポンと戦って勝てたらわらわをゆだねるのじゃ」
「!!」
 たまおもポンも雷でも落ちたような驚きようなのじゃ。
「お姉さま、約束ですよ、絶対ですよ!」
「約束したのじゃ!」
「やったー!」
 やっとたまおの手から逃れたのじゃ。
 長い髪も考えものじゃの。
『ちょっとコンちゃん、今のなにっ!』
『おお、ポン、今回はおぬしのせいで危機に陥ったのじゃ』
『はぁ?』
『おぬしが風呂場に顔を出すからたまおが入って来たのじゃ』
『着がえ持って来たのにその言いよう?』
『ともかくおぬしが責任をとるのじゃ』
『むー!』
 むむ……テンション低めじゃな。
 わざと負けられてはたまらん、なんとかせねば。
『ポン先輩、おねがいなのじゃ、助けてなのじゃ』
『!』
『ポン先輩にたまおを倒してもらわないと、わらわ死んじゃう』
 死にはせぬが、死ぬほどおぞましい気がするのじゃ。
『むう、後輩にそう言われては……』
 ふふ、単純豆タヌキめ、ニコニコしておる。
『ポン先輩、お願いしますっ! 頼りにしてますっ!』
『お任せなんだからっ!』
 単純な奴め〜!
「たまおちゃん、わたしと勝負ですっ!」
「ポンちゃん、覚悟してください」
「いつも思うんだけど、わたしなら余裕で勝てるとか思ってない?」
「ええ……ちょっとだけ……」
「くっ! いいでしょう、わたしの本当の力、見せてあげるんだからっ!」
 し、しかし……わらわも「ポンvsたまお」ならたまおに賭けたいところか。
 でも……ここはポンに勝ってもらわねば困るのじゃ。
 不利とわかっていても、ここはポンに賭けねばならん。
 ポン、頼むのじゃ、勝ってくれなのじゃ!

 夕日に染まる駐車場が舞台なのじゃ。
 たまおとポンが対峙しておる。
「コンお姉さま、コイントスを」
「おう」
 たまおに言われてコイントス。
 小銭の落ちた音と同時にバトル開始じゃ。
「ちぇすとー!」
 お祓い棒を振るたまお。
 おおっ!
 衝撃波が飛び出しおった。
 ポンはびびってチョンと避け。
「たたたたまおちゃん、今のなにっ!」
「毎日素振りをして、出せるようになったんです」
「飛び道具反則!」
「そんなルール聞いてません」
「そ、そうだけど……」
 ポン、いきなり窮地かの。
 わらわの操も風前のトモシビかの。
「ちぇすと! ちぇすと! ちぇすとー!」
 おお、連射じゃ。
 しかしポンもしぶといのじゃ、チョンと避けよる。
「ポンちゃん、避けないでくださいっ!」
「そ、そんな〜」
「早くやられてください」
「あ、当たると痛そうだもん」
 わらわもそう思う。
 あれに当たって負けるのは、わらわでも嫌じゃ。
 むむ……しかし!
 ポン、なんだかんだ言って避けておる。
 これも野良のカンというものかの。
「ちぇすと! ちぇすと! ちぇすとーっ!」
「ひょい! ひょい! ひょい!」
「何で避けるんですかっ!」
「いや……そんな……」
 しかしポンは避けれても攻めれんのう。
 ああ、何故こっちに避けるのじゃ。
「ちぇすとーっ!」
 どわ、こっちに衝撃波が来るのじゃ!
 ポンと一緒に木の陰に隠れるのじゃ!
「ポン、何故こっちに来るのじゃ」
「たたたたまたま!」
「とばっちりを食らうではないかーっ!」
 木の向こうにたまおオーラを感じるぞ。
「そうでした……ポンちゃんを狙いながら、流れ弾がコンお姉さまに当たるというのもあ
りますね」
「これ、たまお、おぬしはわらわをどうしたいのじゃ」
「ねんごろになりたいのです」
 わらわは嫌じゃ。
 たまおがわらわに実力行使……
 わらわも本気で戦わねばならんかの?
 しかしたまおの邪念には何故かかなわぬ気がするのじゃ。
 わらわは神じゃが……あの桃色オーラはちょっと……のう。
 ポン……ポンはなんだかんだで豆タヌキじゃ。
 あの邪念の前には……
 まてよ……ポンはエロポンなのじゃ!
 それにわらわも何度も……
「ポン、戦うのじゃ」
「嫌っ!」
 その返事は想定内なのじゃ。
 今のポンではたまおは倒せぬ。
 しかしこれがあれば!
 ●パイにホウレンソウ、アンパンマ●に新しい顔なのじゃ!
「召喚、ポン太のお酒っ!」
 ふふ、ミコが取り寄せおったポン太のお酒、大量にあるのじゃ。
「ポン、呑むのじゃ!」
「え!」
 拒否権なしじゃ!
 お酒は二十歳になってから?
 ポンは設定では中学生じゃが所詮はタヌキ、OKじゃ!
 純米ポン太のお酒を強制注入。
 ポンの口に無理やり一升瓶……ちょっといやらしいのう。
 喉が上下に波打って……
 おお、ポンの目が赤く燃えておるっ!
「熱い! わたし脱いじゃう!」
 こ、今回は貧乳スキーにもサービスなのじゃ。
 い、いや……こやつからも桃色オーラがあふれ始めた……困ったのう。
「えへへ、コンちゃん、わたしになにをしたの?」
「う、うえ……何もしてないのじゃ」
「さっきなにか飲ませたよね?」
「あー!」
「ふふ、そういえばわたしのしっぽ、コンちゃんに挿れちゃうって話あったよね」
 どわ、それはコン村1話の事じゃ!
 しっぽを持って迫るでない。
 そうじゃ!
「ポンっ!」
「なになに〜」
「たまおが仲良くしたいと言っておった!」
「たまおちゃんが!」
「いつもおぬしを相手しておらんのはツンデレなのじゃ」
「そ、そうだったんだ!」
 ポン、飛び出しおった。
 途端に衝撃波の連射……ポンは避けてたまおに接近中じゃ。
 おお、軽快なステップで衝撃波を避けておる。
「ちぇすと! ちぇすと! ちぇすとー!」
「たまおちゃん、わたしのしっぽ、挿れてあげる」
「わ、私、ポンちゃんには興味ないっ!」
「ツンツン〜デレデレ〜テレないで〜」
 おお、ポン、たまおを捕まえおったぞ。
 あっと言う間にたまをを脱がせおった。
「えへへ、たまおちゃんにわたしのしっぽ、挿れちゃうよ」
「あわわ、そんなのは! そんなのは!」
 ふむ、ちょっとまずいのう。
 あんなしっぽを挿れられてはたまお死んでしまう。
 作品の雰囲気ブチ壊しなのじゃ。
「えへへ、鳴け泣け〜」
「いーやー!」
 やはりポンに酒はいかんのう。
 リセットせねばな。
「これ、やめぬか!」
 一升瓶で「ゴン!」じゃ。

「そんな事があったのじゃ」
「それでポンちゃんとたまおちゃんは……」
 今日の店番はわらわとミコなのじゃ。
 なんせポンは一升瓶で「ゴン!」したからの。
 今は包帯ぐるぐる巻きでウンウンうなっておるのじゃ。
 たまおも気分悪くして布団にこもっておる。
「やはり一番こわいのはポンなのじゃ」
 ミコもうなずいておる。
 あやつに……タヌキに酒はダメなのじゃ。


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NCP5+(2016)
illustration 朱坂理樹
HP:EmptySide
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